[1]  否定的な評価をしないことが肝要である。その時々の自分らしさが記されていることを重視し、全て認めることが大事である。
[2]  ワークショップ
 ワークショップとは、集まった人々が知恵や意見を出し合い、何らかの成果を持ち帰る話し合いである。ワークショップの形になるまでは、幾多の変遷があった。最初は、従来の協議会方式であった。その後、ブレーンストーミングを取り入れたりもした。グループ討議を取り入れたこともあった。それが現在では、次のように安定している。
 1時間の研修時間を3等分して話し合う。最初の20分は、4〜5人のグループで話し合う。次の20分はメンバーを変えて話し合う。最後の20分は全体で集まり、その日に学んだ大切にしたいことを40秒以内に話す。そして、時間が来ると終了する。
 私たちは、話し合いによって一定の結論をだそうとはしない。一人一人が明日からの実践へのヒントを得ることを重視している。レポートを読み、いいところを探して実践に生かす。話し合いで具体的に聞き合い、実践へのヒントに磨きをかける。そのため、レポートを印刷し、ワークショップの行われる前の週の金曜日に配る。それを読んで、火曜日の研修に参加する。

(4) 開発した総意ある教育課程
[1]  主体性を生む繰り返し
 子供が自分を発揮して学ぶ主体者になるには、教師の注意深い支援が必要である。教師がしていいことと悪いこと、教師がしなくてはならないこととしてはならないことを知る必要がある。また、子供に任せていいこととそうでないこと、任せなければいけないこと・教師が手出しをしてはいけないことがある。繰り返し同じような活動ができる対象を選び、学びの変化を期待することも、そのうちの一つである。
 子供は自分で課題を見付け、自分で解決している。いつも一つの課題しか見付けていないのではない。いくつもの課題を同時に見付け考えていることもある。課題を見付けてから解決するのではなく、見付けるのと解決するのは同義である。また、活動を続けていくうちに解決したことが関連付いてくることがある。
 このような子供の主体的な学びを生かすには、繰り返しの活動が大切である。同じような繰り返しの活動の中でこそ、子供の考えを生かすことができる。学びの変化とは、緩やかな蓄積の後の飛躍である。その飛躍を期待するため、繰り返しの活動を行うのである。
[1]  書くことは学びの原動力
 体験を意味付けた作文を記録法として位置付け、それを蓄積させる。「活動をしては書く」ということを全学年で取り組み、作文を蓄積してきた。作文を取り入
  取り入れたのは、事実と感想を分けて書くという従来からの観察記録や科学の手法から脱却しようとしたからである。事実も感想も入り混じった作文がまさに総合が求める記録法にぴったりであったからである。
 その作文を読むと、その子供が何をし、今何を考えているかがわかる。書くことは考えることであり、子供の学びの進化・発展させる原動力である。また、意味付けや価値付けを作文し記録として残しておくのは、自己評価に役立たせるためである。
 その時々の主観的に考え、意味付けたことだからその時々の自分を残してきたのである。それを振り返れば、自ずと自分の成長に気付くのである。だから、自分の思いで書いた作文でなければならないのである。
[2]  子供を進化させる立場・視点の変化
 立場を変えさせる手立てを講じ、ものの見方や考え方を深める。「水のしずくになって」「一寸法師になって」など、自分以外のものになって作文を書くことを取り入れている。自分以外のものは、どんな事を見て、どんなことを聞き、何を考えたのだろうかと想像することになる。これが立場や視点を変えさせることを促す。そのため、ものの見方や考え方が深まるのである。
[3]  学びを変化させていく感性・感覚
 感性でとらえることを大切にする。1年生の子供はヒツジ小屋をどこにつくるか決めるときに、教師の「場所の声を聞きましょう」という一言で動き出した。駐車場・豚小屋近く、高志が丘の声など、その場所の声を聞き、聞こえたその声を作文に記した。そして、ヒツジにとって最も適切な場所を選んだ。
 このように、子供の感性・感覚でとらえる活動を取り入れることによって、子供は、自分らしい解釈、意味付けができるようになっていく。子供は、知識では解釈できなくても、祖先から受け継いできた知恵をもっている。今持ち合わせている能力を最大限発揮することで、生きる力を伸ばしていく。そのため、感性・感覚を正しく位置付けることも、学びを変化させる上で大切なことであある。
[4]  誰にも邪魔されない自分の場所
 一人一人の○○を大切にした指導をする。5年生では、「一人一人の田んぼ」、2年生では、「一人一人の畑」という活動の場所を設定した。子供は、作物を育てる手立てを自分で考え、仕事を進めるようになった。「自分の畑」「自分の田んぼ」であるという環境を設定することによって、子供は主体的に動き出す。それは、誰にも邪魔されず、自分で責任をもって活動できる場所が与えられたことを意味する。これは、主体性を育てる上で、一番大切なことである。
[5]  学校を変える子供の思い・願い
 子供の選択・意思決定を生かす。受動的な児童会活