活動から、子供が主体的に活動する児童会活動へと変身させるためには、子供が学校をどのようにしていきたいかという願いをもつことが不可欠である。そこで、子供の願いや思いを最大限に生かした児童会活動にするため、機械的に決めていた委員会活動をやめ、子供自身が活動したい委員会に所属することにした。願いがあり、したい委員会活動であるため、多様なアイデアを出し合い、活動するようになった。
 また、学年ごとに分担を決めて行っていた「草取り」は、ボランティア活動とした。ボランティア活動は、したい子供が集まるので、一生懸命作業する姿が見られた。このように、子供が自己選択し、意思決定する場を設定していくことは、教育課程をつくっていく上で大切であると考える。このように、児童会が変わり、子供が自ら動き出し、主体的に活動することにより、学校が変わっていく。

(6)子供の学びの進化・発展
 書きためた作文を振り返る活動で自己評価を促し、成長・進化を感じ取らせる。
 子供は、生活科や総合的な学習で活動した後、作文をファイリングしておく。そして、それを順番に読み、自分が残しておきたいことを抜書きし、時系列に並べる。それを通して読んでみると、子供は自分の学びの進化や成長がわかる。そして、そこに、教師は学びの階層を発見する。このように、子供の体験と結びついたことから、子供の学びの進化・発展をとらえている。

(7) 体験と結びつけた指導
 子供の必要感に応じた「文字指導」や「時刻指導」を行う。
 子供は、書きたいことがあると、知らない文字を尋ねてくる。今まで、作文の基礎・基本は、文字を覚えることだと考えて、教科書の配列順に文字指導をしてきた。作文の基礎・基本は、書きたいことをつくることだとわかると、文字指導の在り方が変わってくる。したがって、教師は、このような子供が残しておきたいと思えるような体験をさせていかなければならない。体験したことと、言葉を結びつけながら、文字指導をしている。
 また、1年生では、時計が読めなくても、時間・時刻を大切にする指導を進めてきた。自分で時間を守る、時刻を見ながら行動するということを習慣付けていくことは、教師の指示を待つのではなく、自分で考えて行動する子供を育てていくことになる。時計が読めなくても、このような習慣を付けていくことによって、子供は時計を見ながら行動でき

るようになっていく。そして、教科書だけで学ぶ「時間・時刻」の知識ではなく、実際に時間・時刻を使いながら覚え、使えるようになっていく。このように、単なる知識として覚えるのではなく、体験と結びついた知識の獲得が大切である。

III まとめ

 従来の教育課程開発は、機械モデルで行われてきた。出来上がりを設計し、それを部分に分解する。それぞれの部分を出来上がらせ、組み立てると完成する。
 しかし、教育は機械以上に複雑である。部分に分解できなかった。また、部分に分けることで失ってしまうものも生じた。機械をモデルにした教育課程開発は破綻した。
 機械に替わる新しいモデルがありました。究極のモデル、生命体です。生命体である人間の教育に、人間以外のモデルではいけないのです。そうして、自分自身の実践をため、それを振り返り成長の足跡をとらえる。それに洞察を加えて、次の実践に生かす。それを繰り返しながら、確かな力を育てる教育課程を開発してきた。
 そこに果たした校長の役割を整理してみる。

1  パラダイムの変化を伴う新しい時代の変化に敏感になる。そのために、教育書以外の分野に目をむけ、世の中の変化をとらえる。常に、それをどう学校運営に具体化するか考える。
2  校長は、自分が学んだことをそのまま教職員に伝えてはいけない。理論・理屈で説明し、実践に立ち向かわせるという手法をピラミッド型という。生命体モデルには、構造はない。生命体モデルで大事なことは進化である。
3  進化には、到達点はない。全体像も構造もない。今を出発点に、変化するだけである。
4  到達点や全体を計画・設計することを止め、出発点・入り口を計画・設計する。あとは、自ずと進化する。入り口の設計如何によって、その後の進化が決まる。
5  入り口の計画・設計は、単純でなければならない。原則的なことを2〜3くらい決めるだけでよい。当校では、次の3つを計画・設計した。 「喜んで登校し、生き生きと学ぶ子供」を具現する。具現したことをレポートする。レポートを読んで、協議会(後ほど、ワークショップになる)する。
6  実践を進める以前で、途中で教職員の相談にのる。常に、新しいパラダイムに適合する用語、方法となっているかを考えて相談に応じる。
7  進化の質の違いに着目すると、習得主義に立つ「確かな力」を育てる評価規準や絶対評価、習熟度別指導の在り方が見えてきた。

<参考>
脱ピラミッド「超研究開発」:高志小
http://www.netspace~k.com
http://www.takashi.jorne.ed.jp