成果と課題
     校長と担任が子どもを通して共有できるものが多いほど,子どもにとって生き生きとした生活の基盤ができる。少人数であるからできることかもしれないが,自校にあったやり方で接することが,自分自身を高め,意識改革につながると思う。
(2) 授業改善と活性化を図るための校長としてのかかわり方の実践例について。
  @ 自らの力量を高めようとする教師の育成     
   課題
     10年経験前後の教諭一人一人の力量を高め,授業改善を進めるとともに,学校経営に積極的に参画させ,学校の活性化を図りたい。
   具現化に向けた施策
    ・学校教育目標の具現化に向けて校長がリーダーシップを発揮するばかりでなく,一人一人の意見や考えが十分に反映されるようミドルリーダーに任せたり,相談や協議したりする場を持ちながらボトムアップを図る。
    ・毎日各教室を訪問し,授業参観している。授業のことや子どもの様子について共通の話題を持ちながら助言したり,よいところを誉めたりする。
    ・心の教育に力を入れ,木曜日の3校時に全校一斉の道徳の時間を設定している。その際,1時間いっぱいの授業参観をしている。時には,TTとして授業に参加することもある。
    ・本人の指導力の高まりや子どもたちの成長を確かめるために,研究授業を年間一人2回実施する。研究主任に情報を提供し支援している。
  研究の成果と課題
     10年経験前後の教師は,いろいろな可能性を持っている。教師としての生きる喜びを体得して欲しいと願い,人間的にもプロとしての研鑚を積んでいけるように指導支援して行きたい。
B 学校の組織文化を変える営み
   課題
    学級の垣根が高く,職員の士気もいたってのんびりとした様相を見せている。活力を生み出すための息吹をどのようにして生み出すかが大きな課題である。
   具現化に向けた施策
    ・ 学級王国の壁を破るために校長室と同様学級の学級の開放も呼びかける。その手始めとして学年や学団単位で子どもを捉え,フルネームで子どもの名を呼び,その子の特徴を語れるようにするこの指導性を十分に発揮することはできそうにない。
    ・自分の専門性を生かすように1教科は授業交換し合う。専門的で新鮮な空気を注ぎ込み,子どもと教師も新たな出会いを持つことができる。
  ・校務分掌に若手の起用をし,マンネリの打破を図ることに努める。
  ・研究教科の日常化を図るために,教育課程の見直しをし,きらきらタイムの創設をする。
  ・異学年交流を積極的に促進するための縦割り班を編成する。これを活用してのウォークラリーや五色百人一首,読書活動などを実施する。
  ・学級づくり作戦の一環として,知的な風土,支持的な風土,道徳的な風土などの育成とともに仕組みづくりやリズムづくりを奨励する。学級の経営基盤に「我がクラスの心一つに響き合う学級経営」を考えてもらい,日常的な活動として実践化を具体的に位置付けてもらう。
  ・PTAとの共催による事業の推進。学校での意図的・計画的な指導とともに,学校と家庭との連携によって子どもたちに体験的な活動を組織化し充実した一日を過ごしてもらう。
  ・実践の共有化を図るために,校外学習の実施計書と実施報告書の作成を義務付け実践した。
 成果と課題
   教職員を動かすということは,学校の大きな課題であり,校長の役割でもある。本実践では,新しい息吹を注ぎ込むという点ではそれなりの成果が上がった。また,学級担任とPTA学年役員の主催による体験的な行事は,双方の意思の疎通を図る上でのいいきっかけとなった。課題としては職員とのコミュニケーションが不足で,信頼関係が成立しない状態では,組織としての機能が思うようには高まらないものである。



V まとめ
 学校は,子どもたちの伸長・発達を助ける組織的な営みであるから,校長は自校の課題を把握しながら,どのような施策ができるのかを考えなければればならない。特に,子どもたちの人格を形成する上で重要な役割を担う人間性は,長い目で見て育てるという思いが必要になる。また,子どもの学力を形成するために重要な授業力の向上も,計画的に図られなければならない。校内研修の充実とともに,諸機関との連携も重要な研修の場である。校長の働きかけが積極的なところは,思いのほか効果を挙げている。
 子どもと対峙するに当たって「共感型」と「信服型」とがある。校長と教職員との関係も同様でありたい。校長が自分の人間性や力量を高めることなしには,教職員の意欲を引き出したり,使命感を高めたりすることにおいて,その指導性を十分に発揮することはできそうにない。「努力は,目標を達成するための橋である。」といわれる。ビジョンを掲げたら,その目標達成のための方法を考え,鋭意努力することは,校長に課せられた使命といえる。