登校してきたらどのように接するか事前に学級内で話し合わせ,受け入れ態勢を整えておいた。また、個人的に面倒を見てくれる子も選び、頼んでおいた。
4、 姉弟で不登校に陥っていたが、弟の不登校が解消したことが刺激となり、姉の意識も好転した。
5、 定期的に保護者と担任の話し合いを行い、最良の方法について探り、同一歩調で指導にあたった。

イ 解消はしないが好転した事例

1、 6年男子、朝学校に顔を見せてからガイダンス教室へ行けるようになった。
2、 1年女子、母子分離不安児について、担任を替え母親にも付いてもらい徐々に解消に向かってきた。
3、 意欲的にガイダンス教室に通えるように変化してきた。週に1回は学校にも顔をみせに来れるようになってきた。

ウ 不登校を出さない新たな取り組み

1、 組織面では
@教育相談委員会を定期的に開催
A校内危機委員会の立ち上げ
B 学年指導体制・プロジェクトの立ち上げ
2、 指導面では
@家庭訪問で学習指導を始めた
A研修会を企画し研修
B教育相談週間の設定
C明るく楽しい学校づくりの推進
3、 各種団体との連携について
@中学校のカウンセラーを活用
A 民生児童委員との情報交換と主任児童委員の学校訪問の受け入れ
B 専門機関(児童相談委員、児童専門員、社会福祉協議会、社会福祉専門員等)との連携をとり、地域の学校づくりの実践
C地区文化祭への参加
D 中学校区内の「小中連絡会」を立ち上げた。
校長の関わりと指導
○不登校を出さない学校経営
・不登校克服チャートを配付し職員を指導した。
・必要に応じケーススタディ二より対処した。
○保護者への指導
・学校で親へのカウンセリングを始めた。
他校の各種実践に学び、各校で解消或いは好転をねらい取り組みを継続している。

(2)校長会主催研修会の実施
 @研修会の開催
 ア 市内の教職員を対象とし、不登校児童指導技術の向上をねらい、花輪敏夫氏の「不登校対応チャート」についての研修会を実施した。各校より多数参加者はあったが、欠席者を対象とした校内での伝達講習も各校で実施され、指導技術の向上という当初のねらいは達成できた。  
  イ ガイダンス教室、フリースペースの担当指導者を招き、通級児童の様子や具体的な指導等につき情報交換を実施し解消に向けての手立てを探った。

 

V まとめ
1、 研究の成果
  (1) 不登校(傾向)児や保護者と直接接触するのは基本的には担任である。担任のアプローチの仕方が解消を大きく左右するといってもよい。特に保護者との連携を密にし、対処について共通理解を図りながら、親と一緒に取り組む指導が解消に効果的に作用している。  
(2) 教職員の指導力の向上をねらい、花輪敏男氏を招き「不登校対応チャートによる指導」の研修会は、具体的な指導のステップを示しながらの研修内容で、即実践に役立つ極めて有意義なものであった。  
(3) ガイダンス教室、主任児童委員会の担当の先生方を校長会にお招きし、直接講話をいただき、再登校への足がかりを模索すると共に、不登校解消に向けた取り組みの充実を図った。  
(4) 不登校児童のいる学校でも特色ある学校づくりに取り組んでいるのだが、不登校に陥らせない取り組み等について学ぶ点が多々あった。
2、 今後の課題と方向性
  (1) 不登校(傾向)の解消に直接あたるのは当事者たる担任であるが、強力に支援する組織が必要である。そのため教師個々の指導力の向上を図り組織としての指導力の向上も図っておく必要がある。  
(2) 家庭、地域社会及び専門機関との連携を常に取り, それぞれが有する課題についての共通理解と、共通した対処の仕方について相互に理解が必要である。  
(3) 不登校の解消は喫緊の課題であるが、特色ある学校経営の実践による予防も同時に実践すべきである。