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 学校教育・社会教育合同研究「学社研」の取り組
   本郡市を含めた県南地区においては、昭和41年に提唱され、通称「学社研」として教育事務所の指導担当と社会教育担当が力を一つにし、学校と市町村社会教育行政担当を巻き込み、一体となって子どもの教育・子育てに立ち向かうことを目的として組織されたものである。昨年度は「子どもの創意と主体性を大切にした豊かな体験活動の実践を通して「『生きる力』をはぐくむ」という推進主題を掲げ、
   「生きる力」を育む体験活動の充実
   学校外活動の活性化
   地域色豊かな推進組織の再構築
  という3つの目標に向かいながら、各市町村独自の「オラホのしくみ」づくりに結びつけようと試みた。この活動は、学校と行政との連携を核にしながら、各市町村に「学社研推進委員会」を、各学校に「学社研担当」さらに「学社研推進委員会」を位置づける働きをした。
A
 県の重点施策「ふるさと教育」への取り組み
   秋田県では昭和61年から取り組んできた「心の教育」の充実・発展を目指し、平成5年度からは学校教育共通実践課題として「ふるさと教育」を掲げ、
   ふるさとのよさの発見
   ふるさとへの愛着心の醸成
   ふるさとに生きる意欲の喚起
  の3つのねらいの下に各校とも取り組んできた。平成11年度は「ふるさと子どもドリーム事業」、平成12年度から14年度までは「ふるさと子どもドリームアップ事業」そして、本年度からは「ドリームプロジェクト事業」とふるさと教育の拡充が図られ、各校で様々な取り組みが展開された。この一連の事業を通して積極的にふるさとにかかわり、ふるさとのよさが分かり、ふるさとの新たな創造への夢を膨らませるような取り組みが活発化し、各校とも家庭や地域社会の力を必要とするような活動が増え、結果として学校外の力を子どものために働かせることに抵抗感がなくなった。
B
 「総合的な学習の時間」への取り組み
   平成12年度の新指導要領への移行期から試行が始まった「総合的な学習の時間」の実践は、ふるさと教育や子どもドリームアップ事業とリンクし、保護者や地域の人々の理解を得ながら、お手伝いいただける人材の発掘や情報の整備を促進し、結果として家庭や地域社会との連携の姿を拡大・発展させた。
C
 校長としての役割考
   以上のような経緯を踏まえ、学校と家庭・地域社会の連携をどのように進めていくのか、その方向性を見つめ直し、これまでの種々の取り組みの成果を生かしながら自校の実状に適合した仕組みやその環境づくりに寄与するのが校長としての務めであり、具体的には1のC校長としての連携への関わり方で示したような内容ではないかと提案した。
また、学校側からは何のためのどんな連携を求めるのかと問われれば【授業改善、生徒指導対策、学校のスリム化、施設設備の管理運営、文化の伝承活動、発展学習(体験活動も含む)、安全管理対策、共通実践活動等】が挙げられ、家庭・地域社会側からは【施設設備の開放、生涯学習講師としての依頼、各種事業の企画立案・実践への指導助言及び参加、家庭や地域社会での学習方法、共通実践活動等】が挙げられる。そこで、必要となるのが「知る→分かる→生かす」という一連の方策である。地域にはどんな「もの、人、こと、しくみ」があるのかを知り、理解し、どのような場でどのように生かすことができるのかを把握し、一方では、学校にどんな「もの、人、こと、しくみ」があるのかを知り…というようにお互いの情報を共有化する手立てを講じるところから出発するものと理解した。特に、学校は何をしてくれるのかに注目が集まることを強く意識し、学校の都合優先の連携から一歩踏み出すためにも双方向のコミュニケーションを大事にし、大人の力の結束を図り子どもに立ち向かうような成熟した関係の構築を目指す必要性を自覚した。
(3)  自校の連携の仕組みを求める糸口は
   自校の実状に適合した連携の姿を求めるのが重要であり、学校を含めた地域社会の大人が力を一つにして地域社会の子どもの育ちを促す姿が自然に見られることを願い、次のような視点を再確認しながら自校の歩みを進めることにした。
【実態把握の視点】
  学習の場
自然、公園・広場、公共施設、各種産業職場、福祉施設 等
  学習を導く人
行政各課担当者、現役各種職業人、元各種職業人、 各種団体・サークル構成者、生涯学習者 等
  学習の素材
自然、産業、文化財 等
  子供に関わる各種団体や人材
子供育成団体、子供会連合会、スポーツ少年団、 主任児童委員、児童民生委員 等
 白岩小校長の実践
   観光地としても名高い角館町にある白岩小学校の校長が当面する学校週5日制への学校としての対応と学力の向上をも念頭に「子供たちが安全で楽しく遊びや学び(体験)ができるエリアの設置」に挑戦した実践である。
(1)  地域実状の把握
   城下町としての歴史が古く、「白岩焼き」等の文化遺産も多く、秋田藩直属の瀬戸物工場として繁栄を極めた歴史も有する地区である。現在は人口約2.000人という比較的小規模ではあるが、3つの行政区域に分けられ区長によって円滑な行政運営がなされている。また、教育への関心も高く、学校支援も極めて良好な地域である。