第8分科会 <研究課題>
 自他の文化を理解し,共に生きる子供の育成を目差す国際理解教育と校長の在り方
研究発表 学校と町でつくるオーストラリア交流
〜平成14年度の実践交流を通して〜
佐賀県 佐賀市立兵庫小学校 校長 田口 良之
I 趣   旨
 パソコン,ALT等時代の流れに即した教育環境づくりが,着々と進められているが,子供の実際の生活に即した環境づくりの一環としては意味があっても,「知識」とは別の「人間」との心の触れ合いという意味で物足りないものが常々あった。
 「生身の人間同士が生活をともにして得るものこそが文化を理解するに値する」を持論としていたので,平成12年,本校に赴任してすぐ,かすかな契機をチャンスとして,町に呼びかけて,以下に記しているような交流を実現させることができた。
隔年,オ_ストラリアの小学校と交流学習をする。
交流者全員(引率者を含む)ホームスティーをし,各自が,それぞれの文化の中で生活する。
町,学校,保護者への説明等は,校長と教育振興会の役員であたる。

II 研究の概要
1 オ_ストラリア交流までの経過と実施内容
(1)  本事業発足の契機(平成12年度)
 保護者より,学校として国際交流の考えがある かどうかの問い合わせがあり,意志があることを 伝えた。 後日,その保護者とオ_ストラリアンバディ_留学(カンガル_キッズ)の責任者と会い,詳細にわたる説明を受けた。
(2)  平成13年の活動
 4月より具体化に向けて動き始めた。行政の支援を受けない小学生の外国交流は本県では例のないことなので,初年度はオ_ストラリアの子どもを受け入れることとし,話を進めた。受け入れ側として,準備したことは,教育委員会
 

への届け(書類等の手続きはない),英語版ホームページの開設,受け入れ学級の決定等。
 ホームスティー宅の選定はオーストラリアンバディ −留学(カンガルーキッズ)が行った。
英語版ホームページの開設には多数の保護者の協力を得た。
 9月の町民体育大会の前日,5人の子どもと1人の引率者がオーストラリアから兵庫町にやってきた。
 5人の子ども,1人の引率者の決定には,ブリスベン教育委員会,ブリスベン市がかかわっている。町民体育大会では体協をはじめ,町内の各種団体, 町民の熱い歓迎と支援を受け,オーストラリアの子どもにとっては心に残る兵庫の初日になったと思われる。
 学校での生活は,平常どおりの授業,平常どおりの行事を原則とした。もちろん,給食メニューの変更もしなかった。

 平成13年度の公民館文化祭りで,子どもたちは短時間訪れる外国の人とは違う「人とのかかわり」について思うままを発表した。
 また,国際交流と一口にいっても,生活を共にするとなると文化の違いによるな気配りが必要であることを学校とホームスティーを引き受けた家庭も学んだ。さらに,21世紀を語る時,生活を伴うの国際交流が不可欠であることを知らされた。
 13年末,本事業を柱とした国際交流団体は,NPOとして認可され,特定非営利活動法人NPO佐賀国際交流支援協会となった。
 お世話いただいている団体が公認の国際交流団体として認可されたので,オーストラリアとの話し合いを含め,専門家の支援も受けやすくなった。

2 オーストラリアに向けて
 平成14年度は,本校からオーストラリアに行く年。