第9分科会 〈研究課題〉情報を選択・活用し,自ら発信する子供の育成を目指す情報教育と校長の在り方
研究発表 これからの情報教育を考える
石川県 志賀町立下甘田小学校  谷内義和
I 趣   旨  

もの理解や活用する能力を目標とする幅の広い教育ということになる。そして,現在の情報教育は,教科とクロスして情報活用能力を育成する活動も含み,同時に,教科の目標を達成する道具としての活用も含んでいる。このように情報教育は幅の広い概念として捉えられている。
 しかし,大事なことは,実践の中で,いかに使われるか,いかに役立つか,いかに子どもたちが変容するか,いかに教員が意義を感じるかである。情報教育を推進するエンジンは,その実践にかかっている。また,言い換えるならば情報教育は,子どもたちに情報活用の能力を育成することにあると言える。そして,その情報活用能力は「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度(情報モラルを含む)」の3つの内容に分かれる。この中で通常の授業で主に意識すべきものは,情報活用の実践力や情報モラルの育成であろう。情報活用の実践力は,児童生徒が,自分にとってどのような情報が必要かを自分で判断し,主体的に収集・判断・表現・処理・創造し,受け手の状況などを踏まえながら発信・伝達できる能力のことである。また,児童生徒の課題や目的に応じて情報手段(コンピュータやインターネットなど)を適切に活用することができるようになることも期待されている。「総合的な学習の時間」では,いろいろな学習活動を通して,これらを育成することが期待されている。
 では,コンピュータを使って授業をすれば「情報教育」の授業になるだろうか。「情報教育」=「コンピュータを使う」「コンピュータの使い方を学ぶ」と考えてしまうことがあるが,それは違うように思う。「情報教育」の目標は,自らの問題解決のために情報を活用することと,そのために情報手段を適切に活用できる力を育成することである。したがって,コンピュータを使っていても,そのような能力が身につかなければ,「情報教育」にはならない。 逆に,コンピュータを活用する場面で,どのように情報を編集すれば相手に伝わりやすいか,どんな方法で調べればうまくいくかなどの学習課題を児童生徒に意識させることができれば,それは「情報教育」であると言える。「コンピュータを使う」ことはあくまでも手段である。特に学年

 コンピュータの進歩には凄まじいものがある。ほんの10年ぐらい前には,ポケコン(ポケットコンピュータ)といわれるものがあった。プログラムを自分で入力して使ったり,データの保存はカセットテープであった。その後,パーソナルコンピュータが出てきて,ワープロから乗り換える教員も出てきた。でも,値段が40〜50万円近くした。フロッピーも8インチのもの,5インチのものであった。しかし,今日のコンピュータは,処理速度も格段に速く,画像処理やインターネットもでき,ほとんどのことができるようになっている。
 また,学校でも,コンピュータは,本町では,7年前に導入され,今年度から新しい機器に更新された。最新のOS(オペレーションシステム)のウインドウズXPが入り,ディスプレイも液晶になり,CD−R/RW、DVD−ROM,スキャナも購入され,素晴らしい環境が整った。そのほか,家庭でコンピュータをもっている子も多く,家で手軽にインターネットを楽しんでいる子もいる。そして,世の中では,コンピュータなしではどうにもならない環境になり,コンピュータを使えることが当たり前の社会になっている。
 このような中で,子どもたちには,情報をうまく取捨選択できる力やコンピュータを自在に扱える力が必要とされてきている。子どもたちにこれらの力をつけさせるためにはどうしたらよいか。また,学校では情報教育やコンピュータ教育をどうしなければならないのかを,羽咋郡や本校の実態をふまえ,校長のリーダーシップも考慮して考えてみたい。

II 研究の概要

1 情報教育とコンピュータ教育
 情報教育とコンピュータ教育は同じなのだろうか,違うのだろうか。よく考えると,違いが分かりにくい。コンピュータ教育とは,通常の授業にコンピュータ等を活用する授業形態を示し,コンピュータはあくまでも道具として扱われる。目的でなく手段なのである。ある本によると,コンピュータ教育は,学問を出発点とし,情報教育は,この世の中を出発点出発点としているとあった。その違いが二つの違いなのである。コンピュータ教育は,学問を出発点とした教科の内容を理解させるために行ってしているが,情報教育は,教科のための道具としてのコンピュータ活用を含むと同時に,情報その