これまでは,学校と社会は結ばれてはいなかった。校門の外を出れば,学校の規範や価値は,世の中とは違っていた。それが,直接学校に入ってきたのである。そして,地域を越え,国を超え,さらに小学校,中学校,大学といった学校も超えた。
 大学生と小学生がメールや掲示板で議論もできるようになったし,外国の人とも話し合えるようになった。  しかし,同時に世の中の価値感も学校の中に入ってくるようになり,情報モラルを重要視しなければいけなくなってきている。
6 情報教育で必要なもの
 情報教育で必要なものを考えた時,まずコンピュータがうまく使えるようにならなくてはいけないだろう。コンピュータリテラシーについては,志賀町立高浜小学校で,平成10年度にマルチメディア活用推進校研究発表会で発表したコンピュータリテラシーの系統表である。機器の発達で若干合わなくなってきている面もあるが,大方は現在でも活用できるものである。
 今後は,これらのものを参考にしながら,各校独自のものを作っていきたいと考えている。

III まとめ

 情報教育についていろいろと考えてきたが,解決しなければいけない課題も多い。
IT技術の習得の問題…子どもと教師のコンピュータ活用技術
管理運営の問題…ネットワーク管理の問題,機器管理の問題
授業活用における問題…授業にどう活かすかなど,いろいろとある。
 例えばホームページ検索についても,「情報教育」の視点から見れば,ホームページで情報を集めるという活動だけではなく,そこでどのような思考が起こっているかを考えることがポイントになる。単にホームページを眺めることや,ホームページから転記するだけでは,操作演習にすぎない。例えば,1)情報を集める活動の前に,何のために情報を集めるのかという課題意識を持たせることが大切であり,今日は何を調べたいのかを明確にさせてから,活動に取り組ませることが大切になってくる。次に,2)そのためにどのような方法をとるのかを考えなければいけない。この場合,ホームページから情報を集めるという方法ではない方が望ましい選択という場合もある。また,3)集まった情報を,自分の目的意識に照らしあわせて,内容を吟味させる必要がある。つまり,情報収集の後,学習活動の中で学習者が振り返りを行えるように時間をとらなければいけない。もちろん,学習課題を明確にできない段階で漠然とホームページを見る活動から徐々に問題意識が芽生えてくることはあり得る。そういう場合は,子どもの意識がどう高まっていくかをそばで教師がきちんと見据えてあげることが大切である。
 しかし,たくさんの課題があるからといって手をこまねいていたのではどうにもならない。やはり,何はともあれやってみなくては始まらない。体験を通しての学習が情報教育には一番適しているように思う。その中で,あれこれ考えながら問題解決にせまっていくのではないだろうか。
 だが,ここで忘れてはいけないことがある。それは,毎日の子どもとの面と向かっての授業であり,学校生活である。先生の真摯で真剣に子どもたちと接する姿が,子どもたちの心を揺さぶるのであり,成長させるのである。この情熱を持った教育を進められるよう努力していきたい。
※参考文献等
・実践に学ぶ情報教育
赤堀侃司 著 ジャストシステム出版部
・情報教育のカリキュラム開発と支援教材
ネットワーク教育利用促進研究協議会