★山村留学とのかかわりで
〈浜頓別町立豊寒別小学校〉
(1) 学校の概要
オホーツク海に面し、海岸部は水産業を基幹産業に原野・中山間部は酪農業を主体としている。
平成7年より、児童数の適正確保と地域の活性化をめざした「山村留学制度」を取り入れている。
全校児童20名中18名が留学生である。
(2) 研究主題
「助け合い励まし合って、生き生き楽しく学ぶ子ども集団の育成」〜一人一人が伸び、集団が高まる指導をとおして〜
(3) 研究内容
・地域環境を活かした授業の工夫
・地域の自然の実践研修の推進
・複式の学習指導、指導過程の研修
(4) 実践例
「ミッキーの森開き」(総合的な学習5時間)
@目標〜森の地図作りを通して、自然に目を向け、森の自然を大切にする気持ちを持つ
A単元の流れ〜森の地図を作ろう〜
学習のめあて作り、班毎のテーマづくり(木、植物)カードのスケッチ作成、地図づくり 〜3時間
発表準備と練習、班毎の発表会 〜2時間
「収穫祭を成功させよう」(総合的な学習28時間)
@目標〜野菜を育てることを通して、植物を育てる根気強さや楽しさ、生き物を大切にする心を育てる
A学習の展開例
○○博士になろう〜作り方を調べ、育てる
○○図鑑を作ろう〜成長を観察し、まとめる
はてな探検隊〜興味を持ったことを調べまとめる
(5) 山村留学の取り組みの例〜子牛のオーナー制度
・留学生には家族毎に子牛が提供される
・提供者である農家に通い世話活動を行っている
・更に、記念樹が提供され計画的に植樹を行っている
(6) 成果と今後の取り組み
山村留学生の中には不登校など課題を抱えている児童もいるが、自然に触れ環境に係わる活動を通して生き生きと生活・学習する姿が見られる。また、環境を見直し、よりよい環境づくりをめざす保護者や地域の人々の気持ちも高まってきている。今後は環境教育でめざす子ども像を明らかにし、地域の様々な場で学習させていきたい。地域環境に触れる学習を通し、環境保全の意識と、自ら自然と係わっていく児童を育てたい。
★学校林とその周辺の自然を生かした環境教育の推進
稚内市立稚内南小学校
|学校の概要
日本最北の街稚内市の中心部に位置し、児童数601名、24学級、教職員36名の規模である。
学校・保護者・地域(町内会・育成部)で構成する連絡協議会を中心に、子育て運動が進められている。
}学校経営の柱
◎学校・家庭・地域社会が一体となった教育活動の推進
(家庭で育てられ、学校で磨かれ、地域で鍛えられる)
~環境教育に対する学校の姿勢と児童のめざす姿
@ 地域の自然など、快適な環境を次の世代に継承。
A 将来にわたって環境を保護し続ける人材の育成。
○環境について学ぶ
○環境から学ぶ
○環境のために学ぶ
実践内容
@ 学習内容(総合・教科・道徳)
《教科》
3学年:生き物や自然の様子
4学年:生き物と人間との営み
5学年:植物の成長と森林
6学年:森林と私たちの生活
《道徳》全学年:自然愛護、公衆道徳
A 総合的学習(南小エコタイム)
*緑の時間:学校林を活用しての学習
*命の時間:教科で学んだ知識を体験を通して学習
・4年生がクサンル川に5,000匹のヤマメ放流。
BPTAとつくる南小の森
*学校林を活用しての学習活動
・PTAの援助で15年間、毎年5,000本のアカエゾ松を植林し、約20ha 1,500本の大きな森ができる。
・4年生がクサンル川に5,000匹のヤマメ放流。
・平成13年度全国表彰される。(2回目)
C クサンル緑の少年団
*校長が団長になり、PTAの資金協力により活動。
・ボランティア活動:『育みの里』清掃活動
・自然観察活動:川遊び、自然探索、釣り等
・農業体験活動:地域の酪農家での農業体験
$ャ果と今後の取り組み
子供たちには、自然の中での体験を通して、日常の生活を見つめ直す目が育ってきている。また、地域の自然や環境に対する興味・関心も高まり、故郷を大事にするという意識が芽生えてきている。学校の環境教育への取組を通して、保護者や地域の人々の学校に対する理解も深まり、教育活動が様々な面でスムーズに進んでいる。今後の取組として、地域の環境に考慮し環境教育の場として活用される学校施設づくりを推進していきたい。