特別分科会 <研究課題>父母や地域に信頼される学校づくりを推進する教育改革と校長の在り方
研究発表  2学期制の実施と学校改革とのかかわり
宮城県 仙台市立旭丘小学校 鈴 木 陽 一
I 趣   旨  

 校長はこれまでも「開かれた学校」を目指し,保護者と地域との「信頼関係の醸成と密接な連携」,そして,「児童のゆとりある学び」,「教育の質の向上」,「多忙化の解消」等を重視した学校経営を実施してきたところである。 しかし,今日の急激な速度での教育改革,社会情勢の変化と保護者の意識変化という中では,現在の3学期制の枠内での学校改革だけではついて行けない現状でもある。そこで,従前の方策にとらわれない全く新たな観点からの学校経営を模索しなければならない現状となった。
 法令の改正によって,各市町村教委の判断で「小学校の2学期制」が実施可能となり,最近,2学期制を導入する市町村が出始めた。従前の3学期制を見直し,2学期制を導入するまでの校長の役割と在り方,さらに導入の際の留意点,そして,この制度がもたらす教育効果と課題に触れながら,2学期制が教育改革,学校改革の趣旨をどのように具現化できるのかについて究明したい。

II 研究の概要

1 研究のねらい
 教育改革の理念を具現するための2学期制の意義や利点と,導入にあたっての校長の在り方と指導性を明らかにする。

2 研究の方法と目的
(1) アンケート調査による宮城県内小学校の2学期制の導入状況,校長のビジョン,課題などを把握する。
(2) 先進実践校の事例収集を基に,2学期制の意義や利点と導入にあたっての校長の在り方と指導性を明らかにする。

3 宮城県内の2学期制導入状況
(H15.3.現在)
(1)宮城県内で2学期制を導入している学校は134校

で,その中の122校は仙台市である。
@  県全体の29.8%が2学期制を導入している。仙台市の導入は100%だが,県全体から見ると27.2%となっている。
A  仙台市以外の導入校は12校である。県全体から見ると9%で,管内別に見ると,大河原教育事務所管内(1),石巻教育事務所管内(6),栗原教育事務所管内(4),迫教育事務所管内(1)にとどまっている。
B 導入年数   ( )内は仙台市
1年目 106校(96校)
2年目 26校(24校)
3年目 2校( 2校)
(2)アンケートに見るビジョンと課題
@  ビジョン
  長いスパンで指導ができることで,子供たちにもゆとりを持った学びが可能になる。
  新教育課程のねらいの実現に,2学期制は一致するのではないか。管内統一して進めたらどうか。(授業時数の確保,学校行事数の確保,長期的に課題に取り組める等)
  ゆとりを生み出すためには,これまで通りにやっていては不可能。新しいことの導入によって,メリット,デメリット共にあると思うが,可能性を追求しなければ何も生まれない。
A  課題
  子供の評価の在り方の検討が必要である。
  保護者に子供の評価の通知方法をどのようにするかの検討が必要である。
  学期の途中に位置づけられている夏季休業や冬季休業の在り方についての検討が必要である。
4 仙台市立東二番丁小学校の事例から
(1)2学期制導入までの経緯
@  ゆとりある教育のための見直し
  総合的な学習の充実を図るため,7月・12月を生かしたい。
A  教職員が2学期制を望む