総合的な学習で身に付けさせたい資質・能力を身に付けさせるには,学びの途切れがあっては保障し得ない。
   年間のカリキュラムデザインをする時に,体験的活動を組む時期が7月や12月にあたり,3学期制での学期末評価がむしろ妨げになる。
   総合的な学習で身に付けさせたい力や学び方の習得状況を評価するには,短期より長期のスパンが適している。
B  新たな見直し
  2学期制の導入(一つの手段として)
<教育改革の基本的な考えに対する下地>
 ア 生きる力の育成
 イ 「ゆとり」
<3学期制の限界>
   行事や学期末で学びが途切れ,問題解決型の学び方の積み上げができない。
   年間を見通したダイナミックな単元構成ができない。
   評価スパンが短すぎ,個に寄り添った連続的な評価が途切れる。
   体験活動に7月や12月が使えない。
   夏休みも有効に使いたい。
 
C 2学期制を取り入れることでの展望  
   減るはずの指導時数が増える。
   学びの連続性により,教育改革の理念が具現できる。
  (ア) のびのびと過ごせて楽しい。
  (イ) 興味・関心のあることにじっくり取り組めるゆとり。
  (ウ) 分からないと自然に言え,学習につまずいたり試行錯誤したりが当然。
  (エ) 安心して自分の力を発揮できる。
  (オ) 存在感と自己実現が味わえる。
  (カ) 基礎・基本をくり返し学習し,確実な定着。
  (キ) 一人一人のよさや可能性を伸ばし,個性を生かす教育の充実。
  (ク) 子供たちと共に学び考え,子供たちの問題解決を助ける。

(2)2学期制の検証(発表資料)
@  学びの連続性が確保しやすくなる
  発表資料にあるように,7月と12月を総合的な学習の体験活動にあてることができるようになり,カリキュラムデザインがやりやすくなり,学びの途切れを解消することができるようになった。
A  通信表や個別面談の工夫がしやすくなる
  3学期制の発想から見る2学期制の問題点としては,「通信表が2回になること」があげられる。本校では説明責任を果たし保護者の不安解消ため,次のような手だてを講じた。
   児童の学びの様子と,どんな力が育ったかを具体的な事例で伝える,書き込みいっぱいの通信表(発表資料)への改訂。
   休み前に評価を返されない不安解消のため,個別面談を7月・12月に設定。

B  教師の自立を図る校長の経営方針が愚見しやすくなる
   子供にとって「勉強はよく分かるし,友達と遊ぶのが楽しい学校」
   教職員にとって「自分の持ち味が十分に発揮できる,やりがいのある学校」
   保護者や地域社会にとって「なかなかやるわいと,感じられる学校」
これら3つの中でも,特にイを重視し,そのための手立てとして,
ア 放課後の活動時間の保障
  (ア) 放課後の全員そろっての会議は職員会議だけ。各分掌で必要な会議は,必要な人だけ集まって行う。
  (イ) 2学期制での7月,12月に通信表作成が入らないことで生み出される時間的・精神的ゆとりは大きく,指導内容の充実に結びついている。
  (ウ) 1学期末の通信表の作成は,夏休みを使うことで9月末の通信表作成時期も従来の7月よりは忙しさが軽減される。
イ 共同研究から「学校研究・個人研究」へ
  (ア) 教師一人一人が自立しない限り教育は変わらない。

C 自己点検・自己評価・外部評価がしやすくなる
   全家庭配布の学校要覧の,教育目標等の文末表記を「〜します」という経営宣言とし,4月中旬に学校説明会を開き理解をもらう。宣言項目に沿い,10月と2月に保護者や学習に関わった方などから,外部評価をいただき経営改善に生かすと共に,参観日に学校懇談会を開いて結果を返している。

(3)3年を経て
@ 触媒としての2学期制
   7月,12月が生き返り,1年のスパンで教育を見つめることができる。
   時間的にゆとりを生かし,学力観の転換を促し,指導観が変わる。
   学びの連続性を生かし,自らの力で教育課程を編成する意識を育てる。
   長期のスパンで児童に寄り添うことで,評価観の転換を図ることができる。
   経営意識が育ち,説明責任にも応えうる自立した教師が育つ。