全国連合小学校長会は結成以来、全国の校長が一体となって真摯な研究と実践を積み重ね、我が国の初等教育の充実・発展と教育諸条件の整備に多大な成果を上げて参りました。その歴史の重みを受け止め、伝統を引き継ぎ、今日の新たな教育課題の解決、全国の公立小学校教育の振興と全連小の発展のため、全力を尽くさねばなりません。
現在、教育改革が急速に進められる中「信頼される学校教育の確立」が強く求められています。このことを真摯に受け止め、全連小としては、「経営の基本と原則を生かし信頼をつなぐ校長会」でありたいと思います。
「経営の基本と原則」は何かといえば、次の三点があげられます。
まず第一は、学校の使命を確実に果たすということです。
義務教育の目的は「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うこと」です。
その育成の中核をなすのが教育課程です。魅力ある教育課程でなければ、保護者や子どもによりよいサービスとしての教育を提供できないことになります。校長は、学校教育の中核になる魅力ある教育課程を編成・実施・評価及び改善する過程を重視し、マネジメントサイクルを確立し使命を果たさねばなりません。子どもたちがよく学びよく遊び、心身ともに健やかに育つことがマネジメントの成果であり、生きる力の育成によってマネジメントの成果を示すことができます。その成果が、しいては国民の信用、信頼を得ることにつながると考えます。
第二に、教職員を生かす校長会でありたいということです。
人材育成の基盤である義務教育の根幹は確固としたものにするために、質の高い教員が教える学校が求められています。現在、学校では、団塊の世代が大量退職の時代を迎えつつあり、それに伴う新規採用の大量化の時でもあります。この状況において個々の教師のよさを積極的に生かし、力量をどう高めていくかは、私たち校長の力にかかっています。しかも、管理職候補、基幹教員の育成や初任者を含めた若手教員の育成は喫緊の課題です。
そのためには学校の抱える課題を明確にし、それを教職員の仕事として位置づくようにしなければなりません。校長は組織としての仕事を作ることによってOJTを可能にし、教職員の資質・能力を高める契機にしなければなりません。
教師の力量の向上は子どもに直接よい影響を与えることになります。子ども、保護者や地域から信頼される教師が多く生まれることが、信頼される学校につながると信じます。
第三は、学校経営の成果を示すことによって、社会的責任を果たす校長会でありたいということです。
子どもの成長の姿を具体的に保護者や地域社会に示すことが学校の社会的責任を果たす根本ですが、校長がいかにリーダーシップをとり、着実な学校経営の実践を積み重ねているかということを多くの保護者・地域の人々や国民に周知し、理解と協力を求めることも重要です。
平成19年度の岡山大会は「未来に夢を抱き、関わりを合いを深めながら生きぬく子供の育成」を掲げ、校長の学校経営の実践結果について、児童の姿を通して実証し発信しようとしています。会員のみなさんにはぜひリーダーシップを発揮し、課題を焦点化して、校長の意欲や力量を示していただけたらと思います。
さらには、現場ならではの提言・発信をしていくことです。様々な課題について、学校現場からの生の声を届け、よりよい教育体制や条件作りをする必要があることを子どもとのかかわりを通して発信していきたいと考えてます。
教育の構造改革、行政機能の見直し、国家戦略の見直し等転換期にあって重要なことは、変わらざるもの、すなわち基本と原則を確認することです。全連小は学校経営の基本と原則を常に見据え、会員の皆さんと情報を共有しつつ、共に変化に適応する事が学校への「信頼」を生むものと確信しています。
この一年全国連合小学校長会の活動にご理解とご協力をいただきますことを節にお願いし、挨拶といたします。
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