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平成18年4月14日

公正取引委員会事務総局
     経済取引局取引部 取引企画課 御中

全国連合小学校長会長
                         寺 崎 千 秋
 
「教科書業における特定の不公正な取引方法」
廃止についての意見

 

 平成18年3月16日に、公正取引委員会より発表された「教科書業における特定の不公正な取引方法」(以下「特殊指定」という)廃止について、本会としては、下記の理由により反対の意見を提出いたします。

 

 教科書は、昨年10月の中央教育審議会答申の中で「義務教育の質の向上を図る上で
主たる教材として重要な役割を果たすものである」とされるように、児童・生徒にとって、教師の指導力とともに、学習の根幹に関わるものである。
 国の将来を担う教育を根底から支える教科書の採択は、児童生徒に対する教育的見地からも、より公正な、より公平な自由競争の中で行われる必要がある。
 そのためには、一般商品とは異なる、下記のような「教科書の特殊性」、「採択の特殊性」を考慮した特殊指定が必要であると考える。

  (1) 教科書の特殊性
  @ 国が定める学習指導要領に基づいて作成され、文部科学省の検定を経て発行・供給される。
  A 定価が文部科学大臣による認可制で、発行各社が自由に決められるものではない。
  B 義務教育の教科書は、日本国憲法により「無償給与」されている。
  (2) 採択の特殊性
  @ 教科書の採択は4年に1回と定められており、宣伝活動が集中し過熱しやすい。
  A 見本本流布から採択決定までの期間が短く、仮に不正等が発生しても、一般指定の適用では、採択期間中の排除や解決が困難である。
 「特殊指定」を廃止した場合、以下のような問題が発生することが考えられる。
 

(1) 内容の良否とは別の要素で教科書が採択され、ひいては教科書の質の低下や寡占化
  を招くなど、国民の期待や要請に反することになりかねない。

 

(2) 加熱した宣伝競争を引き起こし、教科書の質の向上に向けられるべき努力や資金が
  宣伝等に向けられる傾向が強くなり、ひいては不公正な競争を引き起こす恐れがある。

 

(3) 過当競争によって、小規模な教科書会社等は発行を断念せざるを得ない状況になり、
  良質で多様な教科書を発行することが困難になるとともに、地域の実態に合った教科書
  を選択することができなくなる可能性が出てくる。
   児童・生徒は、全国様々な地域で学んでいる。地域の状況や実態に合った教科書によ
  り学ぶことは教育の根本に関わることである。

   
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