公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部 取引企画課 御中
平成18年3月16日に、公正取引委員会より発表された「教科書業における特定の不公正な取引方法」(以下「特殊指定」という)廃止について、本会としては、下記の理由により反対の意見を提出いたします。
教科書は、昨年10月の中央教育審議会答申の中で「義務教育の質の向上を図る上で 主たる教材として重要な役割を果たすものである」とされるように、児童・生徒にとって、教師の指導力とともに、学習の根幹に関わるものである。 国の将来を担う教育を根底から支える教科書の採択は、児童生徒に対する教育的見地からも、より公正な、より公平な自由競争の中で行われる必要がある。 そのためには、一般商品とは異なる、下記のような「教科書の特殊性」、「採択の特殊性」を考慮した特殊指定が必要であると考える。
(1) 内容の良否とは別の要素で教科書が採択され、ひいては教科書の質の低下や寡占化 を招くなど、国民の期待や要請に反することになりかねない。
(2) 加熱した宣伝競争を引き起こし、教科書の質の向上に向けられるべき努力や資金が 宣伝等に向けられる傾向が強くなり、ひいては不公正な競争を引き起こす恐れがある。
(3) 過当競争によって、小規模な教科書会社等は発行を断念せざるを得ない状況になり、 良質で多様な教科書を発行することが困難になるとともに、地域の実態に合った教科書 を選択することができなくなる可能性が出てくる。 児童・生徒は、全国様々な地域で学んでいる。地域の状況や実態に合った教科書によ り学ぶことは教育の根本に関わることである。