TOP全連小の主張各種審議会への意見教育再生会議第一次報告に対する見解
                            
 
平成19年2月7日

教育再生会議
 座 長  野 依 良 治 様

全国連合小学校長会長
                         寺 崎 千 秋
 

教育再生会議第一次報告に対する見解

 

 内閣に設置されている教育再生会議が、平成19年1月24日第一次報告を発表した。その「基本的考え方」の中で、「大人一人ひとりが子供の目標となるよう誠実に努力する必要がある」「社会総がかりで教育を」としていることは重要な捉え方であると考える。
 また、<改革の具体的実践の重視>として、「教育振興基本計画の策定と法令等の整備とともに財政基盤を確保して迅速かつ確実に実施する」としていることに注目したい。財政基盤を確保し、改革のための条件整備を十分に行うべきである。
 本会としては、今後、文部科学省や中央教育審議会がこの報告を踏まえて示す方向性に沿って、教育改革を推進すべきものと考える。
 7つの提言に対する見解は以下の通りである。 

 

 「ゆとり教育」を見直し、学力を向上する
 現在の学習指導要領では、ゆとりと充実の中で、基礎・基本の定着を図るとともに、心豊かな児童・生徒の育成を目指すものであり、この理念は今後も引き継がれるべきである。
 現時点において、仮に一律に授業時数を10%増やすとなると、児童・生徒の学校生活にゆとりがなくなるばかりでなく、教員の教材研究や授業準備の時間が無くなり、一層多忙感が増大することが予想される。学習時間と学習リズムの確保、長期休業の見直しなど、根本的な議論が必要である。
 また、学力向上については、授業時数増のみならず、生活習慣や学習習慣の定着、家庭の教育力向上、教員の授業力向上などとともに、教職員の定数改善をはじめとする条件整備など、総合的な議論が必要である。

 学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする
 安全な学校、安心して学べる学校であることは教育上最も大切な視点であり、本会は常に最重要課題として取り組んできた。相談体制の拡充や予算・人事面での条件整備が必要である。いじめや校内暴力にかかわる提言内容の、警察をはじめとする関係機関との連携や立ち直り支援等は、基本的に賛成であるが、出席停止については、その基準が必要になり、またその運用に当たっても、事例や状況に応じて慎重に対応することが大切であると考える。

 すべての子供に規範意識を教え、社会人としての基本を徹底する
 規範意識の低下については本会としても重要な課題であると認識しており、社会全体で取り組む必要があると考える。それにはまず大人が模範を示すことが求められる。
 具体的に、「道徳の時間」の十分な授業時間の確保と充実、高校での奉仕活動必修化等については賛成であるが、大学の9月入学については、実施大学での検証を踏まえ、幅広い議論が必要である。
 また、「豊かな体験活動」は、学校だけでは限界があり、予算等の確保をはじめとして、地域社会、行政、企業等との連携・協力関係が不可欠である。

 あらゆる手だてを総動員し、魅力的で尊敬できる先生を育てる
 まさに教育は人である。メリハリのある給与体系や教員免許更新制導入、教員の顕彰制度等は、本会としても主張してきたところである。
 また、優秀な人材を確保するためには、義務教育費国庫負担制度を堅持し、負担率を二分の一に復元し教員の処遇改善を進めるとともに、人材確保法を堅持することが必須である。

 保護者や地域の信頼に真に応える学校にする
  学校の外部評価や第三者機関による評価はすでに全国的に行われており、その検証をしつつ更なる改善を加えて推進し、保護者や地域の信頼に応え、開かれた学校にすることが大切である。また、評価結果を教育環境や条件整備に反映させ、学校を支援することが必要である。
 副校長や主幹の新設などは、機動的で効率的な学校運営のために有効であるが、新たな職としての処遇の確保が必要である。

 教育委員会の在り方そのものを抜本的に問い直す
 国と地方公共団体の役割と責任を明確にすることは、すでに改正教育基本法にも定められており、今後の教育振興基本計画でさらに具体化されるものと考える。
 提言では、教育委員会の透明度や説明責任について言及しているが、当然のことである。さらに、危機管理チームの設置、外部評価、小規模市町村教委の統廃合等あげられているが、地域や教育委員会の実態に応じて、改善すべき課題に取り組み、地域住民や児童・生徒、学校にとって真に有効な施策になるように議論することが望ましいと考える。

 社会総がかりで子供の教育にあたる
 放課後子供プラン、地域リーダーの活用など、社会全体で子供の教育にあたるという視点に大いに賛成である。子供たちが安心して遊べる環境作り、子供たちだけの時間と場の確保、親子がじっくりとかかわれる環境作りが必要である。
 また、様々な取り組みの運営に関する負担が学校に負わされることがないよう体制を整備することが重要であると考える。

▲ いちばん上に戻る ▲