学校教育にとって,新しい時代をたくましく切り拓き,よりよい社会を築いていく心豊かな子供を育成することは重要な責務である。しかし,社会の変化に伴って,子供が育つ教育環境は著しく姿を変えてきた。家庭や地域社会の教育力の低下や問題行動の低年齢化・凶悪化など早急かつ根本的に対応を講じなければならない様々な課題が表出している。
こうした中,物の豊かさや生活の快適さを追求することと,人として生きることの意味を問い直すことが求められている。物の豊かさから心の豊かさへ,持つことの喜びから役立つことの喜びへと,価値意識の転換を図ることである。
学校教育においては,道徳の時間はもちろんの こと,すべての教育活動において社会生活に必要な常識や基本的な道理を身に付けさせることが重要である。
そのため,生命や人権を尊重し,他人を思いやる心や美しいものや自然に感動する心などの涵養に取り組み,人としてよりよく生きようとする意欲を育てなければならない。
また,家庭や地域社会と連携し,子供の身の回りの自然や地域の人々とのかかわりを深め,豊かな体験活動を進めることによって,道徳的実践力を高めることが大切である。
次代を担う心豊かな子供の育成を図るため,創意ある教育課程の編成とその確実な実施に向けて果たすべき校長の在り方を明らかにする。 |
学校は,子供の豊かな心をはぐくむために,教 育活動全体を通して道徳教育の展開を図る必要が ある。そのために欠かせないのが,道徳の目標を
達成するための方策を総合的に示した全体計画で あり,これに基づく道徳の時間の年間指導計画で ある。
その編成に当たっては,教師すべての参加によ る毎年の改訂が欠かせない。また,家庭や地域社 会の協力と参加を得て,子供が成就感や充実感を
体得できる様々な体験活動との関連を図る必要が ある。各学校の特色を生かした教育課程の編成と その具体化にリーダーシップを発揮する校長の在
り方を究明する。
子供の豊かな心をはぐくむためのかなめの時間 として,道徳の時間の重要性が,一層増してきて いる。こうした中,よりよい生き方について考え を深める機会として,子供の心に響く道徳教育の
充実に努めることが重要である。合せて,道徳的 実践力を高める道徳の時間と指導者の協力体制を 整えるとともに「心のノート」の効果的な活用を 工夫することも大切である。
子供が,自己の存在を真摯に見つめ,未来に夢 や希望をもち,人としてよりよく生きようとする 意欲を高め,道徳的実践力を身に付ける道徳教育 の推進に当たる校長の指導性について究明する。
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