◇第5分科会◇
第5分科会 人権教育

 研究課題  自立と共生をめざした人権教育の推進
 
分科会の趣旨
研究の視点

 人権教育は,人格形成の基礎を培う小学校において,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間など,学校の教育活動全体を通じて推進され,多くの成果を挙げてきた。
 しかし,子供の日常生活の実態を振り返ると,人権感覚や人権意識の育成になお一層の充実を図らなければならない。また,指導にあたる教師が自らの感性を磨き,確かな人権意識に裏付けられた言動を率先して行うことも重要である。
 社会の複雑化,個々人の人権意識の高揚,価値観の多様化等に伴い,これまで以上に自他の人権を尊重し,相互の多様性を認め合う共生の心を醸成することが求められるようになった。
 人権教育の推進に当たっては,人権の尊重,法の下の平等などという普遍的な視点からのアプローチとともに,同和問題を始め,女性,子供,高齢者,障害者,外国人など,それぞれの固有の人権課題についてのアプローチにも留意しながら指導する必要がある。さらに,保護者が子供の養育に関心を示さないなどのネグレクトを始めとする児童虐待等の新たな人権問題も課題となってきており,その解決に向けては児童相談所,社会福祉事務所等,関係諸機関との連携を図りながら,協働的な取り組みが必要になってきている。
 本分科会では,自他の人権を尊重し,他者の自由や権利を大切にしながら自らの行動に責任をもち,共に生きようとする人権教育の推進について,校長の描く明確なビジョンや具体的な方策を明らかにする。

 人権尊重の心と実践力を培う教育の推進
   子供一人一人が,自他を尊重し,相互の個性を認め合ったり,他者の気持ちを理解した上で行動したりするなど,人との豊かなつながりやかかわり合いを大切にする心や実践力を培うことが強く求められている。
 人を大切にし尊重する心の育成や体験・交流等の実践が,子供たちが目指す夢や目標を明確にし,自らの在り方や生き方を豊かにすることを,子供自身が実感できるように,場や機会を充実することが重要である。
 このような人権尊重の心と実践力を培う教育の推進について,校長の役割・指導性を究明する。

 子供の人権を尊重し,自立と共生の心を育む教育の推進
   社会的弱者である子供の人権は,大人の愛情によって支えられると同時に,国や社会等によって支えられなければならない。ところが,大人の役割や社会のしくみ等が十分機能しきれず子供が厳しい現実に直面している場合もある。
 このような状況の中で,子供の自立と共生の心は,子供たちが自らの夢や目標を見失うことなく,子供相互のかかわり合いや周囲の大人の支援を通して育まれる。
 望ましい人権感覚や人権意識を育成し,人権尊重の精神に基づく,自立と共生の心を育む教育の推進に向けた,校長の役割・指導性を究明する。