高度経済成長を経て物質的には豊かになった反面,子供を取り巻く環境は必ずしも望ましい状況にあるとは言い難い。人間関係の希薄化,少子高齢化に加え,家庭や地域社会の教育力の低下等も課題となるなど,現代社会は多様かつ複雑化している。
しかし,学校が子供の教育の多くを抱え込む時代は終わり,家庭・地域社会がそれぞれの教育機能を有効に発揮して,学校と共に,子供の生きる力を育むことが求められる時代となっている。
何もかもが学校の責任であったり,家庭や地域に責任転嫁したりするという姿勢ではなく,期待と信頼に応え得る学校づくりを実現するため,家庭や地域社会のもつ教育力と特性を存分に発揮して相互にかかわり合うことが必要不可欠である。お互いの良さを生かすことが,相乗効果を生み出し,子供の「人間力」を高めていくことにつながると考えるからである。
そして,このような真に効果的なかかわり合いが行われることで,学校は本来行うべき教育活動の推進と研究に専念できるのである。
本分科会では,学校と家庭・地域社会がそれぞれの役割と責任を明確にし,子供の健やかな成長を目指して,より組織的に連携を進めながら学校が期待する家庭や地域社会との協働について,また,学校が家庭・地域社会と共にかかわり合う中で,家庭や地域社会の教育力が効果的に発揮され,学校本来の教育活動が推進される新しい学校づくりについて,校長の描く明確なビジョンや具体的な方策を明らかにする。
|