TOP全国大会第55回宮城大会第10分科会 (1)
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第10分科会〈研究課題 自然を大切にする心と実践力を育てる環境教育と校長の在り方〉
研究主題: 地域に学ぶ環境教育と校長の在り方
北海道猿払村立浜鬼志別小学校  安田正志
★礼文島〜観光に生かす実践例  
〈礼文町立尺忍小学校〉
(1) 学校の概要
 「花の浮島」と言われる礼文島の南端に位置し、校下は、戸数106戸、そのうち9戸が保護者ある。全校児童11名、教員6名の複式3学級の極小規模校である。古くから沿岸漁業で栄えた地域であるが、現在保護者で漁業に従事する家庭はない。
(2) 研究主題
〜「豊かな心をもち、生き生きと表現し、自ら実践する子どもの育成」
=ふるさとを愛し、ふるさとから学ぶ活動から、豊かな体験と表現力を=
(3) 研究課題
〜「創意を生かしたふるさと活動」
=思いやりや励まし合いで、人と自然との共生をめざし=
・地域の自然、環境保全活動
 (観光道路標識、クリーン活動等)
・地域の人たちとのふれあい活動
 (地域素材を知る・生かす等)
・汗して働く喜びを
 (空ビン回収、天然昆布干し体験活動)
・豊かな表現力を引き出す(手紙の交流)
(4)実践内容
@ 内 容 〜 観光道路標識
学校近くの高山植物が咲き誇る散策路に、道案内や環境保全思いやりの言葉を書いた標識を立てる。
観光客に島の自然や散策路、立て看板の感想を学校近くに設置したふれあいポストに入れてもらう。
感想を投函してくれた観光客の方に、お礼と学校での活動の様子を手紙にして出し交流を図る。 
A 計 画(総合的な学習の時間)
 月   活 動 内 容 時数
5月 観光道路標識作り・立て
6月 桃岩・元地高山植物散策道観察
7月 ふれあいポスト(手紙書き1回目
10月 観光道路標識外し
11月 ふれあいポスト(手紙書き2回目
2月 ふれあいポスト(手紙書き3回目
3月 観光道路標識作図
(5)成果と課題
 地域の特性を生かした人と自然の共生をめざす教育活動を展開してきたが、主体的に調べ、まとめたり発表する力が育ち、様々な人々との心温まる交流から島の自然の素晴らしさを理解し思いやりの心も育ってきた。今後とも多様な体験を通して自分の思いを豊かに表現する力や自然を愛する豊かな心を持った子どもを育成していきたいと考える。
★地域環境を生かした鮭の薫製づくり  
〈枝幸町立岡島小学校〉
(1) 学校の概要
 オホーツク海に面した「かにの町・えさし」市街地より9.1kmの国道沿いにあり、トド松や落葉松に囲まれた、104年の歴史を刻む学校である。就学児童のいない世帯もPTA会員となるなど、地域・保護者の学校に対する関心は高く、協力的であり、期待も大きい。
(2) 地域環境・産業を取り入れた教育活動
 岡島小学校の総合的な学習の時間は、「地域の特色を生かした学習」が大切な柱の一つとなっている。漁業・酪農に関連した活動を、計画的多面的に行っている。(鮭学習、動物飼育、野菜づくり、花壇づくり等)
(3) 地域・保護者の全面的支援から出発した鮭の学習 この学習は平成3年度から地域の呼びかけで始まり、【薫製施設の建設】、【鮭を捌く】【味つけ】【燻煙作業】等の技術指導も地域・保護者の全面的な支援を受けて実践されている。
 この活動は、特別活動に位置づけ「地域の産業」を学ぶ活動として工夫や改善を続けてきた。「鮭の薫製づくり」だけでなく、校下にある鮭ます孵化場との連携のなかで、稚魚を育て放流するなど、「鮭学習」としての体系化に努めてきた。
(4) 総合的な学習としての位置づけ
 平成12年度からは、「総合的な学習のねらい」にもとづいてこれまでの活動を整理し、再構成して実践している。
場面 主な活動内容(14年度 年間時数35時間)
鮭と人々
1)調べたいテーマを班毎に決定
2)鮭学習の計画づくり
鮭の稚魚放流式
「鮭の薫製づくり」
「鮭の薫製」配布
校下全戸と教育委員会等関係機関
鮭についての調べ学習
1)グループ毎の調べ学習
2)調べたことの発表(学芸会)
(5) 校長の役割
@ 教職員の意識改革と研修の充実。
A 総合的な学習の趣旨の共通理解、学習内容や時数等の全体計画の作成管理。
B 鮭の確保・夜の燻煙作業・講師の依頼・関係機関との渉外活動等の具体的な条件整備。
C 子ども達の興味関心の変化を考え、伝統として残していくものと、新たな要素の導入に伴う活動内容の改善・工夫を的確に行い、内容の充実発展を図る。

 

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