現在、日本は物質的な豊かさと都市化や少子高齢化等の進展により、人々の価値観・倫理観が大きく揺らぎ、人間関係が希薄化してきている。その中で、地域に根ざした共同体が弱体化し、家庭や地域の教育機能も低下し、社会全体のモラルの低下傾向も懸念されている。
こうした中で、子供の生活環境や子供自身の生活意識は大きな影響を受け、子供の人格の形成に様々な課題を生じている。例えば、生命の軽視、自己中心的な価値観、規範意識の低下、他人を思いやる心の低下などの傾向などである。
人間は、社会や自然の中で自分自身や他とかかわり合いながら共に生きていく存在である。従って、学校では、子供たちが友達や教師と共に学び合うなどの様々な活動を通し、一人一人がかけがえのない人間として大切にされていることを実感させ、自己実現の喜びを味わえるようにしていく必要がある。さらに、学校・家庭・地域社会は連携を図りながら、子供たちの日々の生活における豊かなかかわりや著しく不足している社会体験や自然体験などを充実させる様々な体験活動などを通して、日常生活において「豊かな心」をはぐくみ、豊かな人間性を形成し、他者とのよりよい共生ができるようにしていくことが大切である。
そこで、様々な体験活動などを積極的に取り入れながら、豊かなかかわりを通し、豊かな心をはぐくみ、共生の気持ちを耕す心の教育の推進にあたって、校長として果たす役割と指導性の在り方を明らかにする。 |
子供たちに、柔らかな感性、規範意識命を大切にし、他人を思いやる心など豊かな人間性をはぐくむためには、学校・家庭・社会が連携を図りながら、今の子供たちに著しく不足している多様な体験活動を充実させることが重要である。そこで、豊かなかかわりを通し、「豊かな心」をはぐくみ他者とのよりよい共生ができるようにするための心の教育の推進について、校長の果たすべき役割と指導性の在り方を究明する。 |