人権教育は,人格形成の基礎を培う小学校において,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間など,学校の教育活動全体を通じて推進され,多くの成果を挙げてきた。
しかし,子供の日常生活の実態を振り返ると,人権感覚や人権意識の育成になお一層の充実を図らなければならない。また,指導にあたる教師が自らの感性を磨き,確かな人権意識に裏付けられた言動を率先して行うことも重要である。
社会の複雑化,個々人の人権意識の高揚,価値観の多様化等に伴い,これまで以上に自他の人権を尊重し,相互の多様性を認め合う共生の心を醸成することが求められるようになった。
人権教育の推進に当たっては,人権の尊重,法の下の平等などという普遍的な視点からのアプローチとともに,同和問題を始め,女性,子供,高齢者,障害者,外国人など,それぞれの固有の人権課題についてのアプローチにも留意しながら指導する必要がある。さらに,保護者が子供の養育に関心を示さないなどのネグレクトを始めとする児童虐待等の新たな人権問題も課題となってきており,その解決に向けては児童相談所,社会福祉事務所等,関係諸機関との連携を図りながら,協働的な取り組みが必要になってきている。
本分科会では,自他の人権を尊重し,他者の自由や権利を大切にしながら自らの行動に責任をもち,共に生きようとする人権教育の推進について,校長の描く明確なビジョンや具体的な方策を明らかにする。
|