TOP全国大会第55回宮城大会特別分科会 第1分散会(2)
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特別分科会 <研究課題> 豊かな心をはぐくみ、共生の気持ちを耕す心の教育と校長のあり方
研究発表  雲上に営まれた心の教育と校長のあり方
〜学校・家庭・地域の連携を通して〜
奈良県 五條市立阪合部小学校 西 井 千 尋
2.大深小学校の教育実践
(1) 地域産業と児童との関わり
 五條市大深町にも、過疎化と高齢化の波が同時に押し寄せ、それが極端な児童の減少につながることとなった。
 このような状況下『奈良県ふるさと文化活性化事業』はへき地小規模校の特質を最大限に生かした教育実践である。     『教育の原点』であるへき地児童一人一人の個性と能力を伸ばすために、正しく捉える体験的、経験的学習、すなわち「総合的な学習」を核として押さえる中で、子ども達が何気なく接し、日常生活を送っている地域産業の実態を直視し、把握させることこそ、児童の「心の教育・ふるさと教育」を育くむ最大の好機であると考えた。
 今回は、地域の特産であるミョウガに焦点をあて、子ども達があらためてミョウガ栽培のプロセスについて、第一歩からその過程を追求することからスタートした。
          
〜 ミョウガが奏でるハーモニー 〜
『 ミョウガの里からの発信 』       
★ミョウガ★
 ショウガ科、ショウガ属に属し、全国的に山麓に自生している。原産地はアジア東部の暖かい地方と言われる。歴史的には、すでに3世紀頃から我が国でも栽培されていたと言われる。
 約 1mの茎葉の根元に、夏と秋に出た紡錘状の花を高級食材とする。

@ 主題設定理由
 もともと、この地区はミョウガ・柿・山椒などの農業や、山林労務を専業としていたが、ここ20年高齢化が急速に進み、若い働き手は町へ職を求めるようになった。現在は高齢者主体の農業体型となっている。子ども達は、この実態に対し「様子を知っている」程度である。私達教師は、このきびしい現実をしっかりと見据え、学習計画に取り入れようと考えた。
 子ども達は、あらためてミョウガの栽培・収穫・流通を調べることで、地域の人々の苦労や努力を知り、自分達の住んでいる地域の実態や将来について考えさせることに主眼を置いた。

A 児童の活動(主体的な調べ学習)
ア 方途
  地域のミョウガ作りのエキスーパートをゲストティーチャーとして招き、ミョウガ栽培のノウハウを教えていただく。
  地域を歩いて、四季のミョウガの様子゙を観察・記録する。
  学校園にミョウガ畑を作り地域の方を先生として自分達でミョウガの栽培に挑戦する。
  全国のミョウガ生産分布やミョウガの行き先についてインターネットや市場調査で調べる。
  今後のミョウガ栽培の在り方や地域について考える。

イ 活動の内容及び児童の想い
◎ 50 年ミョウガ一筋に歩んで来られたNさんの指導でミョウガ栽培についてきめ細かく親切に教えて下さったことへの子ども達の感謝と地域の人々とのふれあいは勿論であるが、Nさん自身の言葉に「みんなといっしょにミョウガづくりをして何だか子どもの頃を思い出した。みんな素直でいい子ばっかりやった。来年はもっときばっていいミョウガできるようがんばるで。」が印象に残っている。
◎ ミョウガの栽培学習を通してふだん気にとめていなかった地域の人々の苦労は分かったようである。急斜面でのミョウガ株の植え付け、冬の藁敷き、夏の雑草除去、施肥、消毒等収穫までの地道な作業は、今の高齢者には随分過酷だろうとは感じている。
◎ ミョウガの流通については、高学年が中心となってインターネットで調べた結果、思っていたより全国で栽培されていること、また、大深のミョウガは市内のスーパーーや青果店で売られているのでなく京阪神の料理店に卸していることなどが分かった。その反面、地区の耕地面積が減少していることや品質が劣化しつつあることも明らかになった。
◎このような地域の現状に対して、子ども達は差し迫った切実感は抱いていないようである。
ウ 教師集団の児童へのはたらきかけ
「総合的な学習」は単に子ども達が何の目標やめあてを持たずに進めていけるものではない。勿論、主体性をもって問題解決に向かい、自然体験やIT機器等様々な方途で調べ解決していくことが「総合的な学習」の趣旨である。しかし、私達教師も地域の現状を知り、理解する中で子ども達にヒントを提供してこそ子どもも明確な目的意識を持つのではないだろうか。そういう共通理解の下、今回、子ども達に地域産業の実態について目を向けさせた訳である。 

B 取り組みを振り返って
以上、地域産業と子ども達とのつながりについて「総合的な学習」の時間を最大限活用した取り組みの概要を述べたが、実際、子ども達にとって、自分達の地域や産業の将来について真剣に考えることは小学生という発達段階からみて少々無理な点がある。今回、『ミョウガが奏でるハーモニー』の取り組みを通じて言えること

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