B 職員会議での決断
十数回に及ぶ検討のための議員会議は,現状肯定・改革阻止派との激論だった。校長として,その場で決断が必要なものは出し,実施してから結論を出せばよいものはその方向でまとめた。
C 保護者・地域への理解
まず東京の先行事例をもとに,「学校運営評議員会」を立ち上げて,学校改革プランの理解を求めた。続いて,保護者・地域への呼びかけ,学校説明会を行った。再度,年度末のPTA総会で説明を行い,実施に至った。
1 2学期制の意義や利点
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(1) |
教育改革の理念が具現化しやすい
長いスパンで,子供とじっくり向き合うことによって, 「ゆとりある学び」が可能になる。 |
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(2) |
確かな力を裏付ける指導時数の確保
7月,12月の指導がよみがえり,年間の指導時数を 増やすことが可能である。 |
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(3) |
経営意識を促し教師の自立が図りやすい
7月,12月の精神的,時間的ゆとり,そして,教師 自身による年間のカリキュラムデザイン力,さらに,放 課後の活動時間の確保等で,教師一人一人の指導の充実 につながっていく。そのことが,最終的には教師のやり がい・自立につながっていく。 |
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(4) |
評価観の転換を図りやすい
長いスパンになることで,学びの連続性が生まれる。 さらに,通信表の発行が2回であるということから必然 的に評価の在り方(日頃の評価,形成的評価の重要性) を検討するようになる。 |
2 導入にあたっての校長の在り方と指導性
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(1) |
教育改革の理念と実態の把握
まずは校長として,最終的な目的である教育改革の理 念をしっかり押さえる。そして,さらに教職員も含めた 学校の実態(教師の教育力,児童の実態,学校の運営機能等,今学校はどんな状態にあるか)を捉える。 |
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(2) |
教職員の願いの把握
教職員に対して,教育改革の理念をきちんと示し,それに向かうにあたっての教職員の思い願いを正確に把握する。 |
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(3) |
校長としての経営方針の明確化
学校(児童,組織の機能面等)の実態,教職員の願いを踏まえて,「このような学校を目指したい」,「このような子供を育てていきたい」という校長としての経営方針を明らかにする。そして,そのことが教育改革の理念 の具現につながっていくことを理解してもらう。 |
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(4) |
経営方針実現のための課題のおさえ
校長としておさえている課題,教職員が感じている課題を整理し,教育改革の理念の具現に向かうため,学校 としての課題の共通理解を図っていく。 |
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(5) |
課題解決のための具体策
校長としての課題解決のための具体策を示し,それを基に全職員で検討を加え,取り組み方を確認していく。 |
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(6) |
教職員の自立
具体的な取り組みが見えてきたとしても,最終的なカギを握るのは教職員のやる気・自立である。そこで,教職員の意識を高めていくための働きかけを,それぞれの学校の状況に合わせて工夫していかなければならない。 |
3 地域,保護者とのかかわり
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(1) |
子供が変わることで
理屈ではなく,「子供がより生き生きとして活動し始まる」ことで,さらに学校の取り組みが,地域や保護者に理解される。そして,地域や保護者から期待を持って 熱く見守っていただける。 |
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(2) |
学校が変わることで
「子供が変わり,さらに職員の気迫も増してくる」,このサイクリックな好循環で,学校全体が活気づいてくる。また,地域の方々にゲストティチャーとしてお手伝 いいただいたり,自由参観で,保護者だけでなく,地域 の方々にも子供たちの様子を見ていただくことにより,地域・保護者の信頼のパイプがさらに太くなっていることを実感している。 |
4 今後の課題
2学期制導入年数による温度差はあるが,教育改革に向けての一つの手段として2学期制に手応えを感じている。
しかし,大事にしなければならないことは,2学期制を通して,最終的に何を目指すのかということを,校長をはじめしっかり押さえなければならないと言うことである。そういう意味では,教職員の意識改革のカギを握っているのは,校長自身の意識改革なのかも知れない。
今後さらに次のことに努力し,教育改革の理念の具現を図っていきたい。
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(1) |
基礎・基本を含む総合的な学力育成の成果を検証する方法を探る。 |
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(2) |
二学期制のメリットを生かした学びのゆとりを具現する教育課程を探り,授業力の向上を図る。 |
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(3) |
自己点検・自己評価・外部評価のあり方を探る。 |
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(4) |
教職員の自立と意識改革を図る,経営の手だてを探る。 |
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