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【新春対談】21世紀に生きる日本の子供像

 塾長 教育の荒廃とか教室が荒れていると言われますが、私は、会長先生がおっしゃるように、子供たちの本当の姿というのはそんなに変わってないかもしれないなと思います。小学校というより中学・高校の問題だと思うのですが、学校は、おとなの社会の反映みたいなところがあるので、子供の心をはぐくむ、あるいは体をはぐくむためには、おとなの社会が前向きになっていってもらいたいなという気はするんですよ。小学校と中学校・高校とはちょっと違うとは思いますけれども。
 そういう意味では、子供に「将来の目標をもて」と言っても、目標というのは「もて」「もて」と言ったってもてるものではなく、心にしみる体験とか、出会いとか、そういうことの中から子供たち一人一人が自分で見つけ出していくものだと思います。
 ニートやフリーターなどよく言われる問題というのは、夢と希望をもって目を輝かせていくということが、いまの大人の世界になくなってきたということの反映だと思います。
 日本では、自分の国、自分の社会を悪く言う人が、すごく多いですね。ところが、外国に行くとよくあるのですが、日本という国のよさを実感するわけです。例えば国土が美しい。東京にいるとなかなかそうは思えない面もあるけれども、ものすごくきれいに見える国ばかりじゃないですからね。あるいは、いろいろ問題は出てきているけれども、世界の国々の中で安全で、夜中も一応安心です。最近そうでもないですけれども、やはり安心して歩ける。健康面で言っても、女性の平均寿命は世界一で、日本のどこへ行っても一応の医療がサポートされています。また経済不況と言っても、世界の百何十か国の中で見れば経済大国ですね。そういうことを、別に傲慢になる必要はないですが、おとなのほうがあまり卑屈にならないで、十分認識をしておく必要があるのではないかと思います。

子供たちへの期待

 松本 最初にお話ししましたように、今の子供たちは21世紀の国際化社会の中で日本人として主体的に生きていかなければならないわけですが、いまよりもっと変化が激しいかもしれないと予想される社会の中にあって、どんな資質や能力が子供たちに求められているのか。先ほどお話しがありましたように、問題解決への学習についての心理的な側面とか、先生はユネスコの委員としても活躍されていますが、そういう観点、視点から、21世紀に生きる子供たちにどのような期待をおもちでしょうか。また、現在、そのためにはどのようなことが子供たちに大切とお考えでしょうか。
 塾長 小学校ということで言えば、私は、人の気持ちがわかるように努力することと、思いやりというのでしょうか、それが非常に大事だと思いますね。それは先生方のほうがよくご存知だと思いますけれども。
 これまで往々にしてそこが抜けてきた。おとなの世界でそれが抜けてきていたのですね。それをもう一回とらえ直す必要があるのではないか。
 その理由ですが、「21世紀に生きる子供たちのために」と言うときに、では21世紀というのはどういう時代なのか。それこそ21年生まれの我々が小学校時代を生きた昭和20年代の終わりから30年代にかけてと何が違うのだろうかというと、あのころは、経済復興から経済成長に向けてこれからだというので、国全体の目標として、「戦災からの復興」というのがありました。国際的にも、アメリカ、ソビエトがあって、比較的構図がわかりやすかったですね。

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