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【新春対談】21世紀に生きる日本の子供像

これからの教育、学校
 松本 教育改革のまっただ中、各小学校では、新しい教育課程に対応した取組みの推進にそれぞれ努力しております。新しい教育課程の中でも、もちろん体験学習の重視とか、人とのふれあい、心の教育の充実とか、様々なものが入っておりますが、寺崎会長にお尋ねしたいのですが、全連小の会長として、小学校の経営の上でどのようなことを進めなければならないとお考えでしょうか。
 寺崎 小学校の話になりますが、私どもはいま2万2千余の小学校がありますが、その中でいま私たちが求められていることを考えて端的に言うと、「力を高め、自信と誇りをはぐくむ教育をしよう」ということをキャッチフレーズのように申し上げているのです。「力を高める」というのは、何といっても子供の力を高める。ただし、それはある意味で子供の基礎学力のほうに目が行き過ぎているのですが、いわゆる知徳体のバランスのよい教育をして子供の力を高めていこうという、そこが必要ではないかなと一つ思っております。
 それに併せて、子供の力を高めるためには教師の力が高くなければいけない。小学校で言えば、「授業力」とよく言うのですが、授業は子供にとって楽しいものなのか、あるいは、そこからもっと創造的な力が出せるような授業を教師がしていくことが必要だろうし、よく学校では「授業で勝負」とか「授業が命」という言い方をするのですが、そういう教師の力を高めていかなければいけない。
 もう一つは、最近、社会から私どもがいろいろな意味でお叱りを受けるのですが、教師の人間性とか使命感、そういったものをもっと先生方はもってもらいたいということをよくいただきます。そういう意味で、力を高めて、まず自信や誇りをもって教育を進められるような教師を育てたい。
 併せて、そうするには、私たち校長の経営力やリーダーシップといったものを向上させていかなければいけないだろうと。
 そんなことで、「力を高め、自信と誇りをはぐくむ教育を進めよう」ということを言っております。
 もう一つは、これは最近考えていることですが、いわゆる「不易と流行」、その調和を大切にした教育を進めていく必要があるのではないかと思います。最近はどうしても時代の変化の流れの中で流行を追っていくようなことがあって、また、そうしていかないと間に合わない部分が学校の中にあるのですが、私どもは、教育の不易の部分を、戦前、戦後、そして現在と変転する中でも、つなげていかなければいけないもの、続けていかなければいけないものを、もう一度きちんと……。もっと言うと、日本人が大事にしてきたもの、そういったものをやっていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
 卑近に言うと、では小学校というのはどういうことかというと、意外と忘れているのが、学校の名前の由来。それから校章の由来とか、校歌。足元のそういうところからきちんともう一度見直して、そこに人々が込めた思いとか願いとか、あるいは描いた未来とか、そういったものを大事にした教育をする必要があるのではないか。
 そんなことを思っているときに、慶應義塾150周年に向けて安西先生がお話になられた文章を拝見して、いっそうその思いを強くしたところです。
 塾長 まったくおっしゃるとおりです。例えば小学校の音楽の教科書を見ると、少し残念です。日本の文化をずっと継続して伝えている唱歌に代わって外国の歌が載っているわけです。

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