TOP全国大会第55回宮城大会第4分科会 (4)
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第4分科会 〈研究課題〉深い児童理解で豊かにかかわり、心を通わせる生徒指導と校長の在り方
研究発表 心を通わせ合う豊かな人間関係をはぐくむ生徒指導
-保護者・地域との連携を通した不登校児童生徒への取り組み-
沖縄県豊見城市立豊見城小学校  山城 直三
N君への具体的な支援指導    
 N君は1年生の時、学級担任の厳しい面から負担を感じ萎縮してしまい不登校ぎみになった。性格的には、繊細で神経質な面が多く見られた。1年〜2年は母親と一緒に登校する。3年生になって学級担任の「心の居場所つくり」につとめ、登校支援をやった結果少しづつその改善が見られた。4年生になるとほとんど家に引きこもり、登校できなくなった。5年生になっても一学期は、1日も登校できなくなり、家に引きこもる状態が続いた。その間、市の教育相談やスクールカウンセラーの支援を受ける。本人はサッカーが好きで時々級友や父親と学校のグランドでサッカーをするようになる。また、担任は、粘り強く定期的に家庭訪問をしたりして、関係だけは切らさないようにする。5年の夏休みにサッカー部の監督に協力を求め、部員の一員として練習に参加出来るようにした。また、N君の状況について学級指導をし、級友の支援もお願いする。その間校長は保護者との関係を密にする。
  二学期になって彼の心に登校意識がでてきた。サッカーを通しての友達関係が良好になり、自分の存在感に気づき始めた。それからは、連続しての登校はできないものの、友達に引っ張られながら登校するようになった。運動会を機会に、担任や級友の温かい支援のもと登校回数が増えてきた。三学期からは、不登校児童であったと感じさせないぐらい元気を取り戻し、6年生に進級してもまわりの級友と何ら変わらなくなり、元気に登校している。
 N君の不登校から
  ○校長として 親、本人、担任への関わりをいつでも保つ。
  ○担任として いつでも学級の一員だたとの存在感をもたす指導。
・連絡ノート・家庭訪問・手紙
・プリント・電話等
  ○級友として 仲間意識作り
  ○関係機関として 生徒指導委員会や事例研修会等で全職員の共通理解。
  ○親として 常に学校や関係機関と連携

V まとめ

1 研究の成果
 本校区の大きな学校課題は、不登校児童生徒にどのような支援指導をしてその減少に取り組むかである。「心を通わせ合い、深い児童理解で豊かに関わる生徒指導」を実践していくには、教師自身がその専門性を身につけ、豊かな心と温かい心を持ち合わせ、日常的に児童生徒を思う情熱と使命感にあふれ

た教育活動を展開することが大切であるその手立ての一つとして、本校区の子どもたちの健全育成を願い、保護者・地域(自治会、青年会、おやじの会、子供会、地域、スポーツクラブ)・学校が手を取り合って一つの目標(子どもたちの健全な育成)に向かって連携して取り組むことが重要である。
  「連携」とは生徒指導上の問題解決に向かって、よく叫ばれる言葉である。「一つの問題解決にむけて、ある組織間同志が情報を提供し合い、共同でその問題を解決し、お互いにより大きく成長していこう」ということと理解している。さいわい、本校区には学校と保護者・地域が情報を
共有し合い、「わったー学校、わったー子どもたち」との機運が生まれつつあり、子どもたちの健全育成はもとより不登校児童生徒への直接的な支援指導もでてきた。
  最近では、地域全体で生徒指導に取り組んでいる。このような取り組みを通して、心の通い合う人間関係が醸成され心の豊かな成長を図る生徒指導を行った結果、

@ 登校児童生徒の事例研修会や教育相談についての専門講師による理論研修会などを通して、教職員の児童生徒理解が深まり、心を通わせ合う生徒指導の方向性がみえてきた。
A 家庭や地域との連携の在り方が見直され、特に青年会やおやじの会、自治会における「わったー学校、わった―子どもたち」の意識が高まり、みんなの学校の環境がでてきた。
B 学校の説明責任、結果責任に対する校長の責任の重大さを認識し、より家庭や地域と連携を密にし、開かれた学校つくりを目指す取り組みができてきた。

2 課題

@ 不登校に対する、校長自身の強い危機感とそのリーダ―シップの取り方。  
A 学校経営方針に不登校対策を明確に位置付け、どのように教職員に理解させ、教職員の職能制の向上を図るか。
B 今後とも家庭、地域(青年会、自治会、おやじの会、子ども会)教育委員会、警察など関係機関・団体との持続的連携の在り方をどうするか。


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