TOP全国大会第55回宮城大会第7分科会 (4)
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第7分科会 <研究課題> 家庭・地域社会の教育力を生かし、共に新しい学校づくりを目指す連携と校長の在り方
研究発表 
自校の実状にふさわしい家庭・地域社会との連携と校長の在り方
〜強い絆へ、オラホの連携、その姿を求めて〜
秋田県 仙北郡南外村立南外西小学校  宮崎雅夫
 実践事例が校長たちの変容に
   郡市校長会において研究報告をする中で実践事例も紹介した。研究チームでの取り組みの全体化という意味を込め、実践事例から学べるところは自校の取り組みに是非とも生かして欲しいという強い願いをも込めての報告であった。
 昨年度末に実施した校長及び担任を対象にしたアンケートの中で、白岩小学校の実践についての設問や校長の評価にかかわる設問をした。その中から次のようなことが浮かび上がってきた。
A
 
   「学校のスリム化と活性化」「研修の充実という小規模校の悩み解消」「開かれた学校への教師の意識改革」「家庭・地域社会との連携推進の重視」という4つの目的から研究部を学力向上対策部と道徳教育推進部、家庭・地域社会連携推進部の3つのプロジェクトに分けた。相互の関係を密にしながらも連携推進部がエリア設置に機能した。しかし、順風満帆ではなかったことに触れたい。職員の意識改革は進んでいるという意識調査での郡市の校長たちの判断があったが、実際に事を進める過程では結構な抵抗があったのが事実である。「なぜ、私たちがそんなことをしなければいけないのか?」などの率直な疑問も投げかけられたが、幸いにも職員の中に社会教育主事経験者がおり、一歩踏み出すのに躊躇している職員を後押ししてくれた。
(1)
 参考になったと思われること
  組織編制(プロジェクト制)・教職員の意識改革   
  企画・計画力
  校長のリーダー性
  校長の思いの伝達
   以上の4つで7割強を占めた。校長が自らの確固たる思いを明確に打ち出し、その実現へ計画を提示しながら職員への啓発啓蒙を図り、同時に思い切った組織編制による推進体制の確立を図って臨んだことに多くを学んでいるようである。 
(2)
 定期的・恒常的な活動の長所と課題は
   イベント的な活動ではなく定期的・恒常的な活動は「学校・家庭・地域の一層の連携、家庭地域の教育力の向上、家庭地域の主体性の向上、保護者同士の一層の連携」を促すことは必然であるという認識を強く持ち、今後の方向性が明らかになったとしている。
 また、課題として挙げられたのは「人材の確保、他主催の諸活動との重複、諸経費、意識の継続」であり、学校の置かれている地域の諸事情をよく把握した上で、家庭や地域に働きかける学校としての戦略をまとめる必要性を感じ取ったようである。
 尚、実践事例のような広い意味での学力向上に結びつくような取り組みについては、約半数の校長が実践しているとしている。
(3)
 校長の果たしている役割はどの程度か(担任)
   「5:十分 4:概ね十分 3:ふつう 2:あまりかかわらない 1:全くかかわらない」の5つの選択肢を用意してたずねたところ、約99.8%が普通以上の評価を得ることができ、校長のかかわりを認めてくれた。その中でも、十分が約26%、概ね十分が約42%という数字を示したことに胸を撫で下ろす思いを持ったところである。
III まとめ

   郡市小学校校長会の家庭・地域社会との連携部門を任された研究チームとしては、これまでに歩んできた郡市の歴史という基盤を大切にしながらも、学校週5日制や新学習指導要領の全面実施という新しい教育のうねりに波長の合うような、しかも、学校が存在する地域に違和感のないような在り方を、むしろ地域社会の活性化につながるような姿を描いてきた。このことは,家庭・地域社会との連携は各学校ごとに違いがあってもよいのであり、自校の在り方を求めるのが校長としての基本姿勢でなければならないという考え方をベースに進めてきた。幸いにも、アンケートを通しての啓発啓蒙、白岩小の実践報告からの学び、アンケート集計結果の情報提供等により、「学校と家庭・地域社会との連携」という分野を強く意識し、自校を振り返ってくれたこと、そして、歩みに結びつけてくれたことが一番大きな成果であった。
 
   その他の成果として次のことを特に挙げたい
  担任のアンケートは校長自らがまとめて提出することをお願いした。このことから自校の担任が校長の働きをどう受け止めているのかを自身の目で確認することができた。
  校長自身が抱いていた職員の意識と、担任自らが答えてくれた認識とを自身の目で比較確認し、正しく職員の意識を把握することができた。
  様々な実践が見られるようになった。
 
老人会の会合を学校で開催し、休憩時間に子供との交流から始まり、やがて融合へと発展させている
 
少子化の中で、PTAとは別に祖父母学級を学校に組織し、積極的に子供との活動を展開している。
 
人材を通した連携として、教科や総合的な学習の時間に保護者や地域の方とTTを組んでいる。
 
歴史案内人や保護者の指導を受けながら、町内を訪れる観光客への歴史案内ができる子供も育っている。
  担任からの声をまとめると校長の役割としての期待は、「職員や保護者、地域住民への啓蒙・啓発の役割」「パイプ役、橋渡し役、コーディネーターの役割」「学校の営みを知らせ理解していただく役割」であったが、校長自身の受け止めもほぼ一致した内容であり、自身の役割の自覚が育っている。
  担任の声から、「活動内容と成果」集、「課題と克服法」集のようなものをまとめ、各校が資料として活用することができるようになった。
   以上、研究というよりは、各校長が自校の実状をどう把握し、どこからどう取り組んでいけばよいのかヒントを提供したようなものであるが、研究チームの一員である白岩小の実践は、強い刺激となって各校長を揺さぶり郡市全体の底上げにつながっていることが喜びである。
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